同じ気管に出来た腺様嚢胞癌でも病院により、医師により、発症場所により、進行状況により治療法が異なります。

気管に腺様嚢胞癌が出来る事例は本当に少ないのですね。手術から半年が経過しましたが、この間にインターネットを介して気管に同じ癌を患っておられる方と知り合ったのは2名だけです。

『気管を原発とする癌は全悪性腫瘍の中の
0.1%以下で、1年間の発症率は10万人あたり0.2人以下』というデータもあるそうです。

私の場合、癌が気管の左右の肺への分岐部から少し上で発症し、喉頭部まで浸潤、甲状腺、声帯を包むように
10cmに成長していました。気管への浸潤は気管壁、軟骨部まで進んでいるとみられ、気管内の癌だけを切除するのは無理との亀田京橋クリニックのN医師、K医師の判断で、喉頭部全摘出、気管の大部分を切除、残った部分を横にはわせて胸に穴をあけてそこにつなぎ気管孔を制作する。開けてみて気管に隣接する食道への浸潤がある場合は食道も切除、小腸を移植して食道を再建するという手術に決まりました。

残した短い気管を使い、呼吸のための気管孔を作るためには、左右の鎖骨、第一第二肋骨、胸骨上部を切除することになります。それでも患部が広範囲にわたり癌は残り取りきれないことから、断端部に放射線を照射するというものでした。

この気管孔制作という手術の中でも残せる気管が短いためにつんくさんのように喉ではなく、胸の骨を切除して胸に気管孔を作るという手術はさらに稀の稀だそうです。呼吸器外科の名医として知られるN医師でさえ、生涯で私が3人目、4年ぶりの手術ということでした。手術を終えて今日まで未だに私以外で胸に気管孔を作る手術をしたという方に出会っていません。絶滅危惧種並みです。
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発病以来、インターネットで巡り合った気管の中に腺様嚢胞癌が出来て治療中の2名の方のお一人は、ステント挿入手術から放射線治療、凍結療法、ラジオ波焼灼、そして、現在抗がん剤治療中。もうおひとりは、硬性気管支鏡手術から放射線治療をされているそうです。

いずれにしても、珍しい場所に出来た稀少癌ゆえ、どこのドクターも患者と二人三脚での試行錯誤しながらの治療となります。予後の経過も何が起こるかわからないし、再発、転移の可能性も高い、気管が詰まれば即窒息という死と隣り合わせの治療になるのですね。

私も含めて、自覚症状というのはほとんどなく、会社の健康診断レベルではまず見つかりません。違和感を覚えて病院で診断を受けた時は、すでにステージ4という場合が多いのです。私自身、告知された時にはすでに10cmに成長していたわけですから。

いずれにしても癌という病気は、少しでも変だなと思ったら、欲を言えば、定期的に
CTMRIPET検査を受けることでしょう。進行するにつれて治療が難しくなるだけでなく、失うものが大きくなるのですから。
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