外科手術を受けたことがない方のために痛みと麻酔についてお話しましょう。

手術をうけることになったら、まず思うのが痛みについてですよね。当然、手術中は全身麻酔がかけられているわけで痛みは感じません。骨をも切除する大きな手術なので「麻酔から覚めたときにどんな痛みが襲ってくるのか。」私もそれを心配していました。
「実際はどうなのか?」をまとめてみました。

(手術時の麻酔)
手術では、寝台のうえに横向きに背中を丸めて寝かされ「さあ、少しだけ頑張りましょうね。」という麻酔専門医の声とともに、背骨の中を走っている脊髄という太い神経のまわりに局所麻酔薬チューブを入れて手術部位の痛みをとる硬膜外麻酔が施されます。そして、酸素のマスクを顔にあてる(ここで意識は飛んでしまいます。)、点滴から麻酔薬を入れる全身麻酔が行われ間もなく意識がなくなります。あっという間です。
当然のことながら、手術中は、意識がないので痛みは感じません。

(術後の痛み 意識が戻ったときどんな痛みが襲ってくるのか・・・)
手術が終われば、ICUで目覚めます。呼びかけられて目を開けると、周囲に妻、娘、家族、看護師さんの顔が見えます。
痛みについては、私自身が恐れていたのは、「術後、麻酔が切れたときにどんな痛みが襲ってくるのだろう」ということでしたが、術後の痛みについても、今は患者自身がボタンを押して鎮痛薬の注入量をふやすことができる硬膜下麻酔を始め、鼻から入れられたチューブから、点滴から痛み止めが注入されており心配したほどではありませんでした。(個人差はあるとは思います。)

そして、気付くのが鼻からおちんちんに至るまで、体のあちこちがチューブに繋がれ身動きがとれないことです。最も悩まされた痛み。それは身動きがとれない、じっと同じ姿勢で寝ていることからくる背中、腰、尻の痛みでした。
元気な時には、「1日中寝ていたい。」と思ったりしたものですが、寝ていること、しかも、体は縫い合わされ、チューブで身動きがとれない状態でじっと寝ていることがどれだけ苦しいか。生まれて初めて知りました。これだけは、薬ではどうしょうもないのでしょうか。


チューブに繋がれている間、背中痛、腰痛、尻痛に悩まされることになります。
s-kameda20170922009

実際、想像していた手術の傷の痛みは前述の痛み止めにより、かなり緩和されるのですが、じっと寝ていることによる背中痛、腰痛、尻痛には閉口しました。ナースコールを押すたびに体の位置を変えてくれる看護師さんに感謝です。
このことについては、体の大きなヘビー級のプロレスラー、ボディビルダー、お相撲さんは、自身も介護する人も大変だと思います。体がでかい、重いことによるハンデを知る瞬間です。

HCUを経て一般病棟に移ってからは、意識がない間におちんちんに入れられた排尿用のチューブが抜かれ、硬膜外麻酔のチューブが抜かれ、水、食事がとれるようになれば鼻から喉、胃袋へ入れられていた投薬用、水分、栄養補給用のチューブが抜かれます。そして、最も鬱陶しい廃液用のドレンチューブが抜かれます。ここまで来れば、後残っているのは、点滴用のチューブくらいでしょう。体の動きはかなり自由に動かせるようになり動けない苦痛、痛みからようやく開放されことになります。