声と臭覚を失うとともに、鼻口で呼吸をしなくなって間もなく2年半を迎えます。気管のほとんど、両鎖骨、肋骨4本、胸骨を切除して胸に開けた直径10mm弱の孔で呼吸をしており、この小さな孔が「私の鼻」であり「命綱」というわけです。

 

つんくさんのように首に気管孔を制作している方は、気管孔が見えないようにマフラーなどでカバーをしているのですが、私の場合、胸なので服を着ていると健常な方と見分けがつきません。ただ、呼吸の妨げになることと、気管孔から出てくる痰を掃除するために前開きのゆったりした服しか着ることができません。(数着持っているスーツもおそらくこの世で着ることはないでしょう・・・。)そして、いつ出てくるかわからない痰処理用の手鏡とテイッシュ、綿棒は常時ポケットに携帯する必要があるのです。

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手術前には、「生きるためには仕方がないな。鼻が胸に付いたと思えばいいや。」と能天気に考えていたのですが、2年半近く(だからこうして生きていられるのかも?)が経過しても手術前のような無意識な呼吸が出来る時間はほとんど有りませんし、14回程度の気管の乾燥を防ぐためのネブライザー吸入、都度の痰処理、そして、私の場合、エアウエイチューブを抜くと起こる孔の狭窄防止のためのチューブが24時間挿入されているため、摩擦による炎症、出血、肉芽の発生が常態化しているのでメンテナンスが大変です。

 

以前、娘に「生きるためにネブライザーをしているのか、ネブライザーをするために生きているのかわからんわ。」と言うと、「生きるために決まっているでしょ!!」と一括されました(笑)。

 

年が明けて1か月半、ネブラーザーの回数は、早くも200回近くに及びます。年間にすれば1500回近くになります。正直、飽きてきました。そこで、最近では、綿棒とピンセットによる気管孔の奥にこびりついて呼吸を妨げる痰取りをまるで凍り付いた湖の穴で釣りをしている釣り人のように楽しんでいます。大物が取れたらガッツポーズです(笑)。

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※シャワー時の必須アイテム。気管孔に水が入ると溺れるのでしっかりと目張りして準備します。

 

というわけで、2年半が経過して胸の鼻での呼吸に慣れたかと言えば・・・やっぱり、慣れませんね(涙)。

 

でも、現状維持でも生きている!!贅沢な悩みですわ。