私の著書「筋トレが救った癌との命がけの戦い~腺様嚢胞癌ステージ4からの生還~」のタイトルからすると筋トレで癌が治るように聞こえるかもしれませんがそうではありません。
東京大学の石井直方教授から本の推薦文をいただいたのですが、その中で「「筋トレを行うとがんを予防する物質が筋肉から分泌される」と講演で公言していたのに自分ががんになろうとは夢にも思っていなかった」と記しておられます。そして私もがんになりましたから筋トレをしていてもがんになります。
では、何故、筋トレが救ったのか?
ひとつは筋トレ仲間による出会いです。私は、筋トレ仲間、㈱パワーフラッシュの笠松さんの紹介で二人の素晴らしいドクターに出会いました。それまでは、胆管がんで亡くなった川島なお美さんが「女優の体は楽器なんですよ。だから、簡単にメスを入れることはできない。」と言っていたように、私も「ボディビルで鍛えた体は芸術、メスは入れない。」と思っていました。しかし、セカンドオピニオンで病院を渡り歩き、笠松さんの紹介で最高のドクターに出会ったことでメスを入れてでも「生きる」道を選んだのです。正確に言えば、生きることを考えれば、成功しても重篤な障害が残るものの、死ぬ可能性もある危険な手術しか選択肢が無かったのです。
手術前、呼吸器外科の野守主治医が言いました。「癌が進んでいるため恐らく取りきれない。必ず癌が残る。でも、放射線照射により再発を防げる可能性が高まる。難しい手術になるが、慎重にやれば出来ない手術ではない。」頭頸部外科の岸本先生(元ラガーマンで現在も筋トレを実践されています)の「がんは手術で完全切除することが大事。免疫療法、遺伝子療法を模索している時間はない。手術をするにもギリギリの段階だが可能性は残されている。筋肉が大きすぎると手術はやりにくくなるが、鍛えているので耐えられるでしょう。」悩みに悩みましたが、二人のドクターの言葉を信じ、2017年9月12日、「これがこの世の最後かもしれない。」と思いながら車いすで手術室に向かいました。
ICUで意識が戻り、気管狭窄などの合併症、放射線治療で6度の呼吸困難を経験したものの、半年近い入院生活を経て今日があります。
入院中にFACEBOOKで知り合った押川先生も「手術、放射線でがんと戦うには、体力をつけることが大切で、手術に耐えうるか否かは見ただけでわかる。体力があれば抗がん剤治療においても副作用を軽くすることができる。」と仰っていました。
私の場合で言えば、長時間に及ぶ手術に持ちこたえ、その後に来る合併症、痛み、不眠、そして、とりわけ思うように機能しない体のQOL回復のためのリハビリにおいて、体力の必要性を痛感したのです。どんなスポーツにおいても体力、筋力をつけることは重要だし鍛練をすることで当然体力がつきますが、体力、筋力をつけるのに最も科学的で合理的な方法はボディビルダーが実践する筋トレです。そのノウハウを熟知していれば、パワーアップ、持久力アップ、心肺機能向上等を個々の状況に合わせて実現することが出来るのです。トレーニングで鍛えられる体力というのは主に行動体力ですが、行動体力を向上させることで全身への血流量を増やすことが出来、細胞の活性化を図れますし、何よりも自信がつきます。
私自身、入院中から医師や自身の体調と相談しながら自らが長年培ったノウハウで体力回復、体力向上に努めたことが良かったと思っています。経過観察中の現在も、定期的にCT、MRI、PET検査を受けながら正常細胞を増殖させるべく体力向上に努めています。石井先生もボディビルダーは、がんになっても治療での回復力が強いと語っておられますし、私も筋トレで鍛えて体力をつけることで癌をはじめとする病との戦いに前向きに向かい合い戦うことが出来ると信じているのです。
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